ここ数年でよく耳にするようになった副業という言葉。企業として認めていないところがまだまだ多いのが現状ですが、コロナをきっかけに以前にも増して副業に興味を持たれる方も多くなったように思います。また、副業をきっかけとして本格的に起業をされる方も見受けられますし、会社員を続けながら起業を検討する方も多くいらっしゃいます。
いきなり本業を捨てて起業することに抵抗がある方も多い中、会社員をしながら起業の準備に励むことで、副業だったものがいずれ本業となり得ることも夢ではありません。
そこで今回は、会社員をしながら個人事業主として開業するメリットやデメリット、それに伴う必要な手続きや確定申告等について整理しておきたいと思います。

そもそも個人事業主ってなに?

よくいただく質問の中に、「副業をするには個人事業主としての開業が必要なのか?そもそも個人事業主とはどういったものなのか」というものがあります。

個人事業主とは、会社や組織に所属せず、何らかの事業で利益を上げ、個人として独立して事業を行う人のことを指します。どこかの会社やお店でアルバイトやパートをしている人(企業や店舗などと雇用契約を交わしている人)、宝くじ等で一時的に利益を得た人は個人事業主には該当しません。また、後述しますが、個人事業主になるためには税務署に開業届を提出する必要があります。開業届を出すと「青色申告特別控除」という税金上の優遇を受けることが可能になりますが、この開業届を出さずに活動することも可能で、その形態をフリーランスと呼ぶのが一般的となっています。フリーランスとして活動し、開業届を提出して個人事業主となるというのはよくある流れですね。

会社員をしながら個人事業主になる目安は?

会社員の副業では必ずしも個人事業主になる必要はありません。ですが、個人事業主になることで税務面のメリットがあるため悩む人も多いようです。税務面のメリットを受けるためには確定申告をする必要性が出てきますので、この点は注意が必要となります。ただし、副業の収入が年間20万円を下回っている場合には、確定申告も不要となります。

副業の収入が年間数百万円以上になってくると、税務面でのメリットが大きくなりますし、それ以上に副業を本業化して独立・起業できる可能性も高くなってきますので、個人事業主になった方が良いと判断する方が多くなります。

会社員をしながら個人事業主になるメリット・デメリット

メリット①独立・起業の練習や足掛かりにできる
会社員をしながら個人事業主となる場合、青色申告やそのための帳簿付けや資金繰りなどを自分で行うことが多く、こうした経験はその後独立や起業をした場合の予行練習にもなります。また、個人事業主となることで単なる副業以上の自覚やモチベーションが生まれ、事業をよりしっかり推進していこうとする効果も期待できますね。そうなればただのお小遣い稼ぎのような副業と違い、その後本業化して独立や起業するような足掛かりとなる可能性も高まってくると思います。

メリット②必要経費を計上できる
個人事業主になれば、副業で使ったお金を経費として収入から差し引くことができます。税金は収入から経費を引いた所得に対してかかりますので、経費を計上できるということは、節税効果が見込めるということになります。
高額なパソコンやタブレット端末はもちろん、ボールペン1本ですら副業のために買うのであれば経費計上が可能です。副業に必要な資料としての書籍代、自宅を事務所として副業をしている場合は家賃や光熱費の一部も経費とできるので、個人事業主になるメリットは大きいといえます。さらに、インターネットのプロバイダー料やスマートフォンなどの月額利用料も、昨今のビジネスには不可欠でしょうから、通信費としてその一部を経費とできることにも大きいですね。

メリット③青色申告特別控除が使える
個人事業主となり事前に申請をしておけば、青色申告をすることができます。青色申告は最大65万円の特別控除があります。
平成30年度の税制改正により、令和2年分の確定申告から、青色申告特別控除額が改正前65万円から改正後55万円に、基礎控除額が同38万円から同48万円になりました(控除額合計103万円)。
さらに、e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行うと、改正前と同額65万円の青色申告特別控除が受けられ、控除額の合計が113万円になっています。会社員をしながら個人事業主となる場合には、この青色申告特別控除と給与所得控除の両方を使うことができます。

メリット④副業の損失や赤字の繰り越しができる
副業での損失や赤字を繰り越すことができます。赤字は3年以内であれば黒字が出たときに相殺ができます。

メリット⑤副業の所得を本業の所得と損益通算できる
損益通算とは、異なる収入源の利益と損失を相殺することを指します。会社員をしながら個人事業主となった場合、会社からの所得と副業の事業所得を損益通算することができます。
副業を始めた当初は、経費の方が多くて最終的な副業収入は赤字になることも多いでしょう。その場合、会社員として得た給与・賞与と、副業のマイナス分を相殺できるということになります。確定申告をすることで所得税や市民税の節税に繋がりますので、副業で収入がなくても落ち込まず、「節税になった」くらいの気持ちで前向きに取り組んでいきたいですね!

メリット⑥家族への給料を経費にできる
副業の間はあまりないかもしれませんが、家族や親族に事業を手伝ってもらう場合、一定の条件を満たすと「青色事業専従者給与」を利用して家族へ支払う給料を経費扱いすることができます。一人ではなく家族を巻き込んで事業を行うような場合にはメリットになります。


デメリット①青色申告に手間や時間がかかる
税制上優遇の大きい青色申告ですが、申告にかかる手間や時間は相当かかると考えておいてください。とはいえ、最近は簿記の知識がなくても簡単に青色申告ができる会計ソフトも多数用意されているので、しっかり調べておけば心配することはありません。また自身で対応できない場合は税理士に頼むことも可能です。

デメリット②失業保険がもらえない
勤めている会社で失業してしまったとき、通常は失業保険が給付されます。ですが、個人事業主として開業している場合は本業の仕事を失っても無職状態とはいえないため、失業保険を受け取ることができません。
もちろん会社の仕事を失っても副業でしっかり利益を上げていれば問題ありませんが、そうでない場合は失業の際に個人事業の方も廃業届を出して廃業した方が良いケースもあります。廃業届を提出したものの、実態として副業のビジネスを継続していたというような場合は失業保険の不正受給となりますので、そのようなことは行わないよう気をつけてください。

デメリット③自由時間が減る可能性がある
利益を上げるために事業について考えたり、実際に作業をしたりする時間が必要になりますので、自由な時間が減る可能性があります。副業での活動にあてる時間はもちろんのこと、確定申告を見据えてのお金の管理や記録を行う時間も必要です。場合によっては休日の自由時間が減ってしまうこともあると覚悟しておきましょう。


こう見ると、メリットが多くデメリットが少ないように感じますが、特にデメリット③で挙げた内容は自分だけでなく家族に与える影響も大きいところですので、文字で見る以上に負担になってくる可能性があります。自分だけでなく、家族ともしっかり話し合っておきたいところですね!

会社員をしながら個人事業主になる方法

個人事業主となるのに必要な手続きは「開業届の提出」だけです。(開業届の提出は無料)開業届は正式には「個人事業の開業・廃業届出書」といい、事業の開始から1カ月以内に税務署まで提出する必要があります。開業届は、国税庁のWebサイトからダウンロードできますし、会計ソフトからでも簡単に作成することができます。

[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁 (nta.go.jp)

青色申告を行う場合には、この時に併せて「青色申告承認申請書」も税務署に提出してください。

会社員をしながら個人事業主になる場合の確定申告や社会保険

会社員をしながら個人事業主になる場合、「会社に副業がバレてしまうのでは?」「社会保険はどうなるんだろう?」と不安な方も多いと思いますので、個人事業主として活動する場合の確定申告や社会保険、会社との兼ね合いについて解説します。

確定申告が不要なケースもある

副業として個人事業をしている場合、次のようなケースでは確定申告は必須ではありません。

・個人事業が赤字(支払う税金がない)
・本業の収入が2,000万円以下で、副業の利益が20万円以下

ただし、確定申告(青色申告)をすれば赤字を繰り越すことができたり、最大65万円の特別控除が受けられるので、必須ではなくとも申告をすることは検討しましょう。

確定申告をすると会社に副業がバレる?

確定申告をすると本業の勤め先に副業していることがバレてしまうのでは?と思っている人も多いかもしれません。
ですが、確定申告をしたことが直接の原因で副業がバレてしまうということは通常はありません。可能性があるとすれば、住民税が上がってしまったときにバレるケースが考えられます。住民税はその前の年の所得金額によって決まり、会社に納付書が届きます。給与所得が大きく変わっていないにもかかわらず住民税の額が上がった場合、他にも収入があったのではと思われてしまう可能性があり、これによってバレるパターンが多いようです。
これを防ぐためには、確定申告書を提出する際に、住民税を自分で納付する普通徴収を選ぶようにしましょう。そうすれば、会社からの給料分の住民税の納付書は勤め先に、副業分の住民税は自宅などに納付書が届き、納付書から副業がバレてしまうことを避けられますよ。

社会保険や税金はどうなる?

通常、会社員は会社で健康保険・厚生年金保険に加入します。これに対し、個人事業主は個人で国民健康保険・国民年金保険に加入します。
会社員をしながら個人事業主をする場合には、通常の会社員と同様、健康保険・厚生年金保険に加入します。副業で個人事業主となっても、社会保険の手続きに変更はありません。
税金面では、会社からの給料と個人事業主としての副業の収入の合計額に対して所得税と住民税がかかります。副業で利益が出ていれば所得税や住民税が高くなったり、赤字になっていれば会社の給料から天引きされていた税金が戻ってきたりすることがあります。


副業で開始した事業が軌道に乗り、本業と同じかそれ以上に利益を上げられるようになってきたら、独立や起業を本格的に検討すると良いでしょう。特に最近は、いきなり起業するという人だけでなく会社員をしながら個人事業主などの形で副業から本業化を目指す人も増えていますので、それぞれのライフスタイル、考え方やタイミングに合わせて選択をしていきたいですね!

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