会社を設立しようと決めたら、大切な資産である「時間」を無駄に過ごしている暇はありません。押さえておくべき5つのステップを頭に入れ、会社設立のスムーズなスタートを切りましょう!

今回は、準備期間〜会社設立のおおまかな流れと手続きの概要をお伝えします。

STEP1:会社設立準備

1)【商号決定】

商号とは、株式会社の「名前」です。一度決めると簡単に変えることはできませんので、ルールを確認し、慎重に決めましょう。

基本的には自由に決めることができますが、同一住所に同一の商号がある場合は登記できませんので、事前に本店所在地を管轄する法務局に類似商号を確認しておく必要があります。

また、商号を決定する際は会社法だけでなく、不正競争防止法等にも注意する必要があります。例えば、銀行業でもないのに「銀行」という文字を使用したりするなど、混乱を招くような文字の使用は法律上禁止されています。

また、実績のある有名企業の名前を使うこともできません。

類似商号があることが判明すると登記ができず、予定通りに会社設立をすることができませんので、事前に商号調査をしておきましょう。

商号調査をするためには次のような方法があります。

オンライン登記情報検索サービスで検索

登記・供託オンライン申請システムで、所在地・会社名を検索することができます。なお、このシステムを利用するには、申請者IDを取得する必要があります。

国税庁法人番号公表サイトで検索

会社には法人番号があります。国税庁の法人番号公表サイトでは、商号名と所在地を入れると法人番号が表示されますので、このサービスを利用して商号をチェックすることができます。

②の法人番号公表サイトは事前登録が必要ないので、商号調査にあたってはオンライン登記情報検索サービスよりもこちらを利用する方が簡単でしょう。

2)【印鑑作成】

登記を行う際に提出する申請書に押印する会社の代表印のことです。

代表印は、登記申請を行うときに一緒に届け出をしなければなりません。

印鑑は申し込んでからできあがるまで時間がかかる場合もあるので、類似商号のチェックが済み次第、早めの準備がおすすめです。

STEP2:定款の作成

会社の基本原則「定款」を作成することになります。

「定款」に記載すべき事項には必ず記載すべき「絶対的記載事項」があります。

絶対的記載事項の記載がなければ定款全体が無効となってしまうので、注意が必要です。

絶対的記載事項は下記のとおりです。 ここでは、相対的及び任意的記載事項は省略します。

1)【事業目的】

会社は定款に記載していないことを事業として行ってはなりません。

よって、設立時に行わなくても将来的に行う可能性のある事業も記載しておくほうがよいです。

Point!

定款の目的の最後に、「前各号に附帯または関連する一切の業務」と記載していれば、新しい業務をはじめる場合でも、目的に関連したものであれば定款を変更する必要はありません。

2)【本店所在地】

自宅を本店として定める場合は、賃貸の場合、契約書を確認して「法人不可」となっていないか確認して下さい。

定款への記載方法として、最小行政区画(市町村までが基本)を記載しなければなりません。(例:大阪府八尾市)

もちろん、全ての住所を記載することも可能です。

3)【設立に際して出資される財産の価額又はその最低額】

株数ではなく、出資財産額又は最低額を記載します。

4)【発起人の氏名又は名称及び住所】

発起人の氏名又は名称、住所を記載します。

印鑑証明書の氏名、住所と一言一句違わないように記載しなければなりません。

5)【発行可能株式総数】

発行可能株式総数については、定款認証時に定めておく必要はありませんが、定款に定めない場合は、会社の成立のときまでに、(発起設立→発起人全員の同意により募集設立→創立総会の決議により)定款を変更してその定めを設けなければなりません。

※設立時発行可能株式総数は、非公開会社の場合を除き、発行可能株式総数の4分の1を下回ることはできません。

6)【定款認証】

上記を踏まえ、定款を作成したらその定款の記載が正しいものであるかどうかを第三者に証明してもらうことが必要となり、それを「定款の認証」といいます。

定款の認証は、会社の本店所在地を管轄する法務局に所属する公証役場で行います。

定款は紙以外にもPDFの電子定款で用意することもでき、その場合は紙の定款認証に必要な収入印紙代4万円が不要になります。

STEP3:登記書類の作成

【資本金の払込】

現在の会社法では資本金は1円でもよいことになっていますが、1円起業は現実的ではありません。

業種にもよりますが、100万円〜1,000万円ほどになるでしょう。

ただし、資本金が1,000万円を超えると初年度から消費税が課税されますので、そこは身長に検討する必要があります。(通常、設立初年度の会社は消費税が免除されますが1,000万円を超えるとこの特例は適用されないため)

資本金の払込については次のとおりです。

※定款において決めた資本金(定款記載の出資額と同額)を出資者自身の名義で払込ます

1.資本金を自分名義の口座に自分名義で振り込みます(”振込”の必要)

2.通帳の表紙と1ページ目、上記払い込みをしたページのコピーを取ります

3.払込証明書を作成して、上記2のコピーを一緒に綴ります

4.上記書類の継ぎ目に会社代表印を押印します

5.法人設立が完了し、法人名義の口座が開帳したら資本金の金額を個人名義から法人名義に移します

STEP4:会社設立登記

資本金払込後、2週間以内に法務局に登記申請をします。会社成立日は「登記申請をした日」となります。

会社設立登記の申請は、代表取締役が行うことが原則です。

STEP5:会社設立後の税務署への届出

下記の書類を納税地(本店所在地)の所轄税務署長に提出しなければなりません。

※法人設立届出書

設立の日以後2か月以内に提出しなければなりません。この法人設立届出書には、次の書類を添付します。(都道府県及び市町村にも提出する必要があります。)

イ)定款等の写し

ロ)設立の登記の登記事項証明書

ハ)株主等の名簿の写し

ニ)設立趣意書

ホ)設立時の貸借対照表

ヘ)合併等により設立されたときは被合併法人等の名称及び納税地を記載した書類

※青色申告の承認申請書

設立第1期目から青色申告の承認を受けようとする場合の提出期限は、設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日までです。

下記は該当がある法人(会社)のみ作成します。

・棚卸資産の評価方法の届出書

・減価償却資産の償却方法の届出書

・有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書

・源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書

・給与支払事務所等の開設届出書

・消費税関係の届出書

それぞれ自身は該当するのか、またどのタイミングで提出するのかしっかりチェックし、正しく提出しましょう!